説明編 不満を解消するには

フレデリック・ハーズバーグFrederick Herzberg )理論の画期的意義は、人々が仕事の上で満足を覚えるとすれば、それは圧倒的に仕事の内容に自分を生かすことからであり、仕事の達成に直接関連を持たない仕事の環境は、不満を呼び起こすことはあっても、満足に寄与することはまれである、という事実をはっきりとした統計的数字によって証明した点にあります。

 

即ち、仕事に不満を感じる要因と、仕事に満足する要因は別物です。

そして、不満感を解消するには、不満要因を満たさなければならず、満足要因を満たしても不満感は解消し難いことを明らかにしました。

 

具体的に、不満要因とは環境に関するもので、

・会社の政策と経営

・監督

・給与

・対人関係

・作業条件

が該当します。

 

これらの改善は、主として職務不満を防ぐ役目を果たし、短期的な職務態度変化を生み出すものの、積極的な職務態度を喚起する(満足する)効果はほとんどありません。このことから、不満要因は「衛生要因」とも呼ばれます。なぜなら、不衛生だと病気になるが、衛生状態が改善されても健康が増進することはあまりないことによります。

 

もし、このような不満要因を解消しようとして、満足要因である

・達成すること

・承認されること

・仕事そのもの

・責任

・昇進

を満たしても、不満解消にはあまり役に立ちません。

 

フレデリック・ハーズバーグ著『仕事と人間性 : 動機づけ-衛生理論の新展開』(p.ⅲ、pp.85-91)より。

 

 

以上を簡単に図式化すると、以下のようになります。

 

この理論を、皆さんの身の回りに応用してみましょう。

・マイナス感の解消を目指し、マイナス要因を低下するとマイナス感は小さくなるが、プラス感にはなり難い

・マイナス感の解消を目指し、プラス要因を与えると、一時的には良さそうに見えても、決して解決(マイナス感の解消)には至らない

 

このようなことを経験することはありませんか?