第111回講演会(探求の会合同講演会)
学び続ける力とQOL向上
我々は20才まで「教え育てる教育」を受け、仕事に付いて60才の定年まで働いてきたが、長寿命化により定年後30年近くも「自由な時間」を持つことになった。
一方、学校を出てからの約50年を見た時、科学技術、政治、経済は激変し日々の生活はその影響を強く受けるため、社会に出てからも「学び続ける」ことが重要な時代になってきている。
しかし、日本は海外留学生も減少傾向で、高等教育を受ける社会人も海外に比べ非常に少ない。この背景として、終身雇用により一度職を得ると生涯の生活が保障され目先の仕事以外を広く「学び続ける」必要性が希薄である一方、職を得なかった人はいくら学び専門知識やスキル、資格を習得しても就職の機会が抑止されていることが考えられる。このため、既に雇用されている人も、雇用されていない人も、共に「学び続ける」という必要性を感じ難いという問題がある。
現代は「先が読めない時代」に入っており、「自分が信じる善き未来実現」のために、試行錯誤を続けながらでも、社会の痛みを自分の痛みとして社会の安定化を図ると共に自らのQOL(Quality Of
Life)を上げる必要がある。
日本も昔の農村型「共同」社会から都会に移動することで個人(=私)がバラバラになってしまったが、今また「私」が絆を求めて、共同社会の重要性に気付きつつある。
一例として、地域に根差した生活活動や情報発信、教育における活動が育ってきている。
我々もそういう活動を通じて社会に貢献していく必要がある。
【議論】
「40才近くになっても定職に付けずにいる人が、最近多くなってきており心配だ」とか、「派遣や非正規の社員が増え、格差拡大が進んでいるのが問題だ」、「仕事が不足している、仕事の創出が必要だ」、「現状維持のままでは解決は難しい、海外に単身で乗り込んでビジネスを成功させている若者を見習え」といった、日本の社会のありように関する不安が多く出された。我々は、これらの問題を直接解決できる立場になくても、間接的には解決に向けた行動(「蟻の一穴」)は起こせるはずである。
レジメ
第109回講演会
日本の教育について考えよう
開催: 2015年9月19日 14:00~17:00
講師: 橋本 壽之
event 123-1
日本の教育について
講師からテーマに関する事前レポート提出の要請があり、下記のような意見が出されて、活発な討論が行われた。
初等中等教育は礼儀、愛国心、協調性が大事。近現代史の学習とか、英語教育の充実も必要。高等教育では議論を深め自分の意見を持つとか、海外生活も経験するとかが重要。大学では専門知識習得や職能社会対応が大事。社会教育では社会に貢献できる人間を育てる。
発展途上国のベトナム、カンボジアに各1ヶ月滞在して両国共日本の教育レベルの高さ・豊かさには憧れを持っているが、両国共教育には多くの課題がある。
大学の生き残りには大学教育の充実、授業は英語で実施し毎月学習内容のレポート提出、社会人の入学枠拡大、国の先端技術研究のレベルアップが必要。
身につけるべき能力、態度の育成、よく聞き理解する態度、基礎能力を身につけることが大事。
大学教育は実学か教養重視か 知識・偏差値教育から情報化社会適応人材の育成が課題。わが国の大学進学率は1976年20㌫、2009 年で52㌫。韓国69㌫、ポーランドは79㌫で日本はまだまだ低。大学の数2015年で779あるが入学重視から卒業重視への変更が課題。
男80、女86と世界一の長寿国。これからの高齢化社会では生涯教育、介護、認知、孤独死と日本社会の課題。
両親の家庭教育が基本。高校で基本科目の充実。大学の教養は不要で、予備校もいらない。大学のレベルアップ、専門知識充実、会社や社会での一般教養・人格形成が大事。日本はまだイギリス流経験主義、民主主義が未成熟。議論討論を尽くして自分の意見を持つ。大学の数が多すぎる。各県に1国立大でよい。
世界的にグローバル化が進む中、OECDの調査によると日本は内向き志向になっていることが教育面でも明らかになった。日本への海外留学生が少なく、海外に留学する学生も減少している。OECD加盟国の中でも、社会人の大学入学率が一桁少ない。日本はまだ世界との教育レベル比較で低い。
海外に出て見ると、日本のマスコミ報道は視野が狭く、世界の出来事を十分伝えていないことに気づかされる。
教育の問題は、卒業生を受け入れる社会の方の問題でもある。たとえば、社会人が大学に入学して勉強しても、社会では中途採用しないので、受け入れ側の社会も変わる必要がある。
多彩な意見が出されて、日本の教育には問題がたくさんあることは分かった。しかし、ではどうしたら良いか、解決策が見つからないままだったが、一つの事例として海外生活の長い人の中には、リタイア後個人的に英語塾を開き好評を得ているケースが紹介された。今後は、問題を指摘するだけではなく、地味でも小規模でもよいから、皆で教育環境を改善する取組をして行く必要がある。
講演会レジメ
参加者レポート
第103回講演会
蟻の一穴
― Think global, Act local ―
開催: 2015年3月21日 15:00~18:00
講師: 橋本 壽之
event 118-1
背景: 「現在社会の抱える諸問題に対して会員の意識調査」の実施結果を踏まえ、10周年を迎えるNPOマイスタ-ネットの今後の活動の在り方について検討する。
(1) 当NPO設立の主旨は「各専門分野において、卓越した経験を有する会員の見識を生かして、社会に貢献する」ことにある。
(2) 「現在の社会に対する問題意識」の調査結果を分類すると次に大別される。
A. 人生・生き方 B. 正しい考え方
C. 国・社会のあり方 D. 国際社会との関わり
(3) 本調査結果への対応のKey Wordは「つなぐ」である
*ドラッカーによると「企業の目的は一つしかない。 消費者を創ること、即ち、(潜在)生産者と(潜在)消費者を「つなぐ」ことである」
➡ 実際の活動に際しては:
自力で全てをやろうとしない
ネット、書籍など既存資源の活用
必要とする人への紹介
不足を自ら考え補足する
(4) 高齢化を考慮して、「痴呆化を遅らせる効果」には・・・
ホーム(得意分野)だけでなく、アウェイ(未経験分野)へ挑戦
インプット学習(知識習得の楽しみ)よりもアウトプット学習(創造する楽しみ)に挑戦
一人でやるよりもチームで共通テーマを話し合うコミュニケーションが重要
分類別に考察を加えると・・・・
A. 「人生・生き方」については・・・
成熟社会の価値観・・・幸せとは? 生きる目的は?
健康=健康寿命とは?・・・剣玉、お手玉などの伝統的遊戯による健康法
人生の生甲斐・・・社会人教育(2014/2から実施中)や社会貢献
B.「正しい考え方」については・・・
論理的思考・・・誤謬(誤り)を現象や動機から分類する
ディベートの功罪、 「和論」という考え方
非論理的思考(例えば、宗教、神話、伝統、気、情緒)も含む
歴史の検証と理解・・・何が正しくて、何が誤っていたのか?
C.「国・社会の在り方」・・・その1
個人と社会の在り方・・・国民と国家の役わり、格差、共助、平和などについても検証
地方の活性化は?
伝統や文化の学習と発信は?
産業の方向性(食糧、エネルギー、環境、安全など)
若者の教育(例:小学生向けプログラミング)、雇用創出へヒント
D.「国・社会の在り方」・・・その2
環境・・・自然の大切さ、放射能廃棄物の処理など
少子高齢化・・・移民をどう考えるか?
国際貢献の在り方・・・難民救済、医療支援など
E.「国際社会との関わり」について・・・
外交について・・・「ネガティブキャンペーン」から「ポジティブキャンペーン」へ重点 (相互理解と発信の在り方)
国際競争力・・・何に重点指向すべきか
環境・・・環境汚染への対応と支援
文明の衝突や宗教対立に対する対応は如何にあるべきか?
グローバル化の促進・・・広い視野に立っての判断の養成
=取組み方は各人各様であるが、取り組む必要がある=
(5) 「今後の進め方」について
進め方
1)発表者(会員or 非会員)が、従来通り、自主的に関心(専門)分野を講演する・・・質疑応答 ⇒ HPに掲載する
2)共通テーマを決め、なるべく多くのメンバーにより幅広い視点から発表、討論できるよう努める。⇒ HPに掲載する
具体的テーマ(案):
●正しい議論の進め方、●幸福とは何か、
●健康寿命、 ●日本のグローバル化
発表者は、1)、2)いずれも選択可能とする。
来年3月に、10年間の集大成を全員共著で(電子)出版することを目指す。
次回:2015年4月18日(土)10:00-13:00、藤沢市民活動推進センター
テーマ:「幸せとは何か?」 発表者:山本利昭氏
6月は同一テーマまたは永田氏を予定
なお、5月16日は、「探求の会」を訪問し、合同主催とする。
“一般参加者のご出席をお待ちします”
講演会レジメ
第96回講演会
人は何のために生きるのであろうか?
event 109 1
開催: 2014年8月16日 16:00~19:00
講師: 橋本 壽之
今回は講師のリーダーシップ大学の先輩も加わり以下のような活発な議論が交わされた。
「活発な議論ができる」ことがシニアの生活の生きがいだろうか。
ハーバード大の調査隊の被災地調査で、「がれきの山だけが残り、復興の息吹が感じられない」と言ったそうだが、それは現実の一瞬を切り取った絵に過ぎず、その背後には復興が中々進まない厳しい現実があることを知る必要がある。
現代は職能社会に変化してきている。米国では仕事の意義よりはマネーが中心になってきているが、日本は未だメンタルな所が残っている。
働く意義は、「やりたいからやる」のであって、結局それが結果に残る。
リーダーシップを見ると、人は論理だけでは動かない。信念など非論理的な感情が大事である。
フランクルの「夜と霧」は強制収容所という特殊な環境での精神分析結果として「一瞬一瞬を大切にしてそこに生きがいを見出す」と結論しているが、現在の平和な生活から見るとうそっぽく見えてしまう、という見方もある。
いや、これはアンネの日記を読むと、「一瞬一瞬を生きがいにして日記を書いた」のだと実感される。
「大学生の時にマーカーを入れながら一生懸命読んだ」と言うように女性陣は全員「夜と霧」を読んでいたが、男性陣は全員読んでいなかった。男女の違いか、学部の違いか?
「人は何のために生きるのか」、若い時は色々と考え悩むが、大人になると「哲学」と言って笑い飛ばしてしまう。 しかし年老いて、時にはこういうことを考えるということは良いものである。
講演会レジメ
第88回講演会
脱工業化社会とリーダーシップ
開催: 2013年11月16日 14:00~17:00
講師: 橋本 壽之
event 103 1
工業で繁栄を築いた日本は、これからの脱工業化社会でどう生きるべきか、と危機感を抱く講師は、小宮山氏(三菱総研)のプラチナ構想を援用して、知的創造の重要性を論じ、新たな価値を創造するリーダーシップに触れた。
プラチナ構想では、工業社会の生んだ課題として、1.地球規模の環境問題 2.高齢化 3.需要不足の3つを挙げる。これらは工業社会モデルでは解決不可能だが、日本は世界で最初にこの難問の解決を迫られている国(フロントランナー)である。フロントランナーには真似るべき目標も手段もない。自ら創る… “Yes, We
Will” という意志が必要である。
課題1、2を高いレベルで解決した社会をプラチナ社会と命名する。快適な社会には環境、医療・健康、教育、インフラ整備・維持管理等の分野の充実が必要だが、そこに投じる資金を社会コストと考えるのではなく、投資となるような新産業を創造することが必要である。それにより課題3も解決される。
日本では終身雇用が崩壊したが、原因としては、製品寿命の短命化、人口減少、長寿命化に伴う年金開始時期の延長が挙げられた。この崩壊により、働き方にさまざまな変化が生じた。ジョブからワークへ、キャリア開発、パラレル・キャリア、国連の仕事、ソーシャル・ビジネス、などの項目が説明された。例えば国連の仕事では、日本の拠出金は米国に次ぎ第2位(全体の10.8%)なのに、日本人職員は全体の2.4%(60人)に過ぎず、もっと多くの日本人が求められているという。
事態への対処策として知的創造についての説明がいろいろあり、現状に流されずに新たな価値を創造するリーダーシップ(創造的リーダーシップ)の重要性に辿り着いた。
最後にグローバル化の問題に触れ、国際化との比較、対策などが論じられた。国際的視野を養うため、ダボス会議(世界経済フォーラム)の討議を皆で読んではどうかという提案もされた。
今回は、慶応大学の学生2名が参加し、新鮮な息吹が感じられた。
・アメリカは今も日本の先を行っているのではないか。人口が減らないのは周りから若い人を入れているからで、日本もそうする方法もあるだろう。というコメントもあった。
講演会レジメ
第87回講演会
知的創造力を高める
マトリクス・リーダーシップ
-正しいとは?-
開催: 2013年10月12日 10:00~13:00
講師: 橋本 壽之
event 102 1
今回はリーダーシップに関して精力的な活動を展開している講師が少し趣向を変えてケーススタディを提案された。
そして、リーダーシップの枠を越えて色々な意見が出てきて、世相の一断面を見た感じで有益であった。
ケーススタディ1:泥棒に入られたら
<テーマ>夜中に泥棒に入られたら何と叫べば近所の人が助けに来てくれるか?
<答え>正解は「火事だ!」。
「泥棒だ」と叫ぶと、近所の人は泥棒に入られたくないので、鍵を閉めて家に閉じこもるが、「火事だ」と叫ぶと、類焼を恐れて助けに来てくれる
<出てきた意見>
「火事だ」と叫んでも火元が見えなければ寝てしまう。
昔の隣組と違って、今は近所付き合いが少ないから、何と叫んでも助けに来てくれない
今は家族が亡くなっても自治会に告別式の案内を廻さないし、孤独死が増えている
現在では一番確実なのは、監視カメラかSECOMのシールを設置すること。
ケーススタディ2:上司の指示に従わない部下
<テーマ>社長が現在の塩ビ製家具に対して「これからは本物指向」と考えて北欧製の家具の輸入を思い立った。自ら現地に赴き家具メーカーと契約してきた。しかし製品が出来上がり購買担当者が検収に立ち会ったが、「扉の左右の木目が一致しないものは日本では売れない」と言って受取を拒否した。相手会社の担当は、「社長が決めた通りの製品を作ったのに受け取れないとは何事だ」と怒った。
<出てきた意見>
社長と購買担当がもっとじっくり議論をすべきではなかったか
社長と購買担当の意見を調整して、木目を合わせた木製家具を作るのが最善の解で、そういう方向にリードできなかったのは、社長のリーダーシップ不足ではないか
講演会レジメ
第83回講演会
スマートシニアのすすめ
開催: 2013年6月15日 10:00~13:00
講師: 橋本 壽之
event 98 1
アクティブシニアというのは、自分なりの新しい価値観を持つ元気なシニア世代である。スマートシニアはさらに元気で積極的なシニア層をいう。「知的で賢く、格好良く老後を楽しむ世代」である。講師は、我々もスマートシニアになろうではないか、という趣旨で、秋山好古、鈴木章、根岸英一、稲森和夫、三浦雄一郎、などを例に挙げ、その積極的な生き方を紹介した。
稲森和夫が「燃性」(物事に対する熱意や情熱)が重要だとして、人間を3種類に分けて自燃性の人間(率先垂範、エネルギーを周囲に分け与える人)、可燃性の人間(自燃性の人の影響を受けて燃え上がる人)、不燃性の人間(エネルギーを与えられても燃え上がらず、周囲から熱意や情熱を奪う人)としたのは面白く、スマートシニアは自燃性の人間なのであろう。
また、『2050年の世界』編纂者ジョン・アンドリュースの日本の未来についての予測を、人口、地政学あるいはナショナリズム、教育の3分野で紹介し、そこでの課題を解決するのにもスマートシニアの出番があると講師は考えているようであった。
一応アクティブに生きてきたつもりだが、さらにスマートにと言われても…と困惑する人もいた。
シニアでも悠々自適が2割、中間が6割、仕事がなくなったら食べられない人が2割で、全員がスマートになれるわけでもないという意見もあった。経済と生きがいは別で、価値観しだいでスマートに生きられるという説も出た。
老年になるとそもそも動くのが面倒になる人が多く、体をなんとかしないとアクティブに生きるのでも大変、等、いくつかのコメントがあった。
講演会レジメ
第79回講演会
「社会起業家とリーダーシップ」
開催: 2013年2月16日 15:00~18:00
講師: 橋本 壽之
event_94_1 社会起業家として活躍されているリーダー達のリーダーシップの根源を探る講演であった。
●社会起業家の実例
バングラデシュでのジュートのバッグ開発の山口さん、農薬を使わない農業の支援を行う小島さん、みやじ豚の宮治さんなど10名の社会起業家を紹介
●社会起業の特徴
これらの事例から、これらの社会起業家の成功のプロセスを下記3ステップにまとめている。
①社会の問題に目覚め、強く感動し、自ら解決に取り組もうとする熱意
②現実の制度や仕組みの問題点を地道に掘り下げて、大規模化ではなく自分たちだけでできる解決策を手作りで組み立て、ビジネスモデルにしていく根気
③このような熱意と根気に感動して、政府や大企業がフォロワーとして集まり、支援の連鎖反応が起こる。
●社会起業隆盛の背景
これら社会起業家のリーダーシップは日本の成長期における松下や本田のような企業創業者にも共通するような特徴である。
ただ社会が成熟し変化を望まなくなった現在では、このようなリーダーシップは既成の組織の中では衰退し、逆に既成組織の外や隙間で発生する社会問題を解決するところで起こっている。
即ち、現在は、巨大なマンモス組織ではなく、特徴を持った多数の個別のリーダーがネットワークを組んで動く世界になってきていると講演者は主張する。
そして、講演者は、我々シニアもその経験をベースにネットワークを組んで社会起業に貢献していくべきではないかと提唱し、シニアの社会起業に関する問題が議論された。
即ち、若者の職場を奪うのではなく、若者が避けて通り人手不足に悩む中小企業の支援や社会的弱者の支援の場は幾らでもあるのではないかという提案である。
結果としては、やはり最初の熱意を持って活動するコアリーダーはいるか、そしてそこでの解決課題は何かというのが重要であると感じた。
講演会レジメ
第69回講演会 「QOLを高めるリーダーシップとは」
開催: 2012年4月21日 10:00~13:00
場所 藤沢市市民活動推進センター
講師: 橋本 壽之
event_84_1
今回の講演は、講師の今までの精力的な研究活動が深化して、独創的な領域に入ってきたことを示す意欲的な講演であった。
以下にその概要を示す。
日本もバブル崩壊により、従来の滅私奉公の終身雇用型から非終身雇用になり「個人と社会の共生」を考える時代に入ってきた。
それに伴い「仕事」の捉え方も、組織内での職務としての狭義の仕事「ジョブ」から、組織内外での諸活動や地域活動、ボランティア活動などの広義の仕事「ワーク」へと進化し、これに伴い個人の個性、自発性を活性化する仕事人生「キャリア」の開発が重視されるようになってきたという。
従来の終身雇用体制では、リードする人とされる人がいて、リードされる者は訓練を受けてレベルアップしていくという他律的社会であった。しかし非終身雇用の時代では即戦力が期待されるので、自分で自分の能力を磨く「自律的な能力開発」が必要になり、特に高い専門性と創造性は個人の知財として組織や国境を超えて争奪されるようになってきた。
そういいうことから講師は、「創造的リーダーシップ」というテーマを独自に考えてPRしようとしている。
そして能力開発のあるべき姿として、従来の知識習得に重点を置いた「インプット型学習」から、インプットした知識をもとに独自の考えを発信・アウトプットする「アウトプット型学習」へ、更にはこれまでにない価値と創造を創り出す「創造」へと進化発展することを提唱している。
講演会レジメ
第68回講演会 「行動科学とリーダーシップ」
開催: 2012年3月17日 14:00~17:00
場所 藤沢市市民総合図書館
講師: 橋本 壽之
event_83_1
生産性向上の要因として非公式職場グループの影響がエルトン、メイョーの調査で判明。G.ホマンズの研究人間関係が重要とされる。
又A.マズローの欲求の5段階は分かりやすく好評だった。生理的欲求 安全欲求 自我自尊欲求 自己実現欲求の5つ。
ほかにw..e社ホーソン工場の実験で照明の生産性に与える影響を調べると、照明度増で能率は向上するが照明度を戻すと最高記録を達成した。これは面白い結果です。
行動科学では人間の行動と意欲は相関するものではなく、組織目標達成には非組織グループの意欲が大きな推進力となります。人間関係学が大事な研究テーマになります。
講演会レジメ
第59回講演会event_73_01 「なりたい自分になる方法」
開催: 2011年6月18日 15:00~18:00
講師: 橋本 壽之
第59回例会は、「なりたい自分になる方法」、と題され、講師がインタビューした3人の女性についての資料に参加者があらかじめ目を通してきて、お互いの意見を交換し合う形で行われた。参加者から様々な意見が出され議論も盛り上がりを見せた。紹介された3人の女性は、ガラス絵画家であり詩人の桐本美智子氏、オーガニック・スキンケア技術で地域起こしもするスカーレット西村氏、農業の活性化のため多方面に努力されている起業家の小島希世子氏である。
講師がこの3人に注目したのは、これまでとは異なる、新規性、革新性、創造性があると思ったから、とのことである。まず、桐本美智子氏は、ガラス絵の裏側に絵を描いたり、ガラスを複数枚重ねたりすることで奥行きを表現できるようにして、ガラス絵の芸術性を高めた。スカーレット西村氏は五島列島のオーガニック藪椿から化学精製を一切排除し、べた付き感や油臭さのないカメリアオイル(椿油)を創り、それを用いたスキンケア技術を開発した。そして小島紀希世子氏は農産物の生産者と消費者の意見交換を促進することで、両者の距離を短くし、お互いの意思が通い合える仕組みを作ってきた。農業は単なる食物獲得手段ではなく、人の自然との関わり方、生き方、ライフスタイル等様々な繋がりがある。ネットショップやレンタル家庭菜園などを通してそのような理念を実践している。
大勢の人々が飢えに苦しんでいる時代にはまず量が求められ、理念や理想は後回しにされるのかもしれない。しかし私達は常に更に良いもの、優れたものを求めている。世の中が安定し成熟した社会になれば、なりたい自分になれる道筋が拓かれて行く可能性がある。悔いのない生き方をしたい、自分が自分らしくありたいという願望を持ち、弛まず努力を重ねることで実現する幸運に恵まれることもあるだろう。紹介された3人の方は、そのような方々のようである。
現状では、企業の海外移転、大量リストラ、求人数の減少で働きたい人も仕事が見つからず、自分らしくありたいという願望もくじけそうな厳しい状況が続いている。そのような時だからこそ、自分自身をしっかり見つめ、生き方を探っていくことが、当然のことかもしれないが、一層大切なことであろう。今回の意見交換を通して以上のことが良く理解できたことは収穫である、
講演会レジメ