「農」を「流通」・「学」・「職」の3本柱で活性化する起業家小島希世子氏の創造性とリーダーシップ

「創造的な経営」に関する面接調査結果

実施日:’11.3.28 14:30-16:00
場所:「えと菜園」藤沢農場
面接者:橋本壽之(記) 

回答者:「えと菜園」代表取締役小島希世子。子供の頃から農業に関心を持ち、「農」について「食べる」ことを可能にするためのネットショップ」、「学ぶ」ための農業体験、「職」としての生産農家支援の3本柱に取り組む。2011.1.29(土)に、横浜みなとみらいランドマークホールにて開催された「横浜ビジネスグランプリ2011」にて、「ホームレスの食と職をつくる『レンタル家庭菜園』」が、ソーシャル部門・最優秀賞を受賞した。その活動は、昨年10月22日(金)熊本日日新聞、2011年2月13日に神奈川新聞、2月20日に毎日新聞に掲載された。柔道2段。「えと菜園」http://www.eto-na-en.com/ 
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1. 御社における「創造的な経営」について
1.1 その概要をお知らせ下さい。
<それまでと異なる、新規性、革新性、創造性について>
ネットショップ「よかもん発見たい」を通じ、出身地熊本の農薬・化学肥料を極力使わない提携農家の農産物を販売すると同時に、生産者・消費者の意見交換を合わせて促進することにより両者の距離を縮め、命を支える農産物に関する生産者と消費者の関わり合いを正常な関係に変える。農業のノウハウをシステム化し、一般市民でも農薬・化学肥料を極力使わない安全な農産物を生産できる「食の自給自足」と、雇用の場を広げる「職の自給自足」を目指す。

1.2 それは、どのようにして起こりましたか。
1.2.1 あなた、あるいはそれを主導された方について
<創造に至る動機やきっかけ等>
学生時代にある農家から聞かされた言葉が心に響いた。それは、農産物は命を支える重要な商品であるにも関わらず、農家には価格を決定する権利はなく、また消費者の声を聞くこともできない。そこで、生産者と消費者の距離を縮めてお互いの意志が通い合えるような仕組みを作りたいと考えた。農業は単なる食物獲得手段ではなく、自然との関わり合い方、人間としての生き方、ライフスタイルを哲学的に学ぶことにある。また農業は、仕事とプライベイトを切り離す事が出来ない、表裏一体のものである。農薬は、地域ごとにその道の専門家がいる程、人間にとって重大な問題である。

<創造性を生む源泉>
人口より牛の数の方が多い農業が盛んな熊本県南小国町で、自然に恵まれて育った。両親とも高校の教師であったが、周りはごく普通に農業が盛んに営まれていたので、子供の頃から農業を志して成長した。

1.2.2 職場や社会との関わりについて:
<促進要因>
学生時代にアルバイトで世話になった農業者、就職した農産物の卸売会社の先輩や大学の先輩など多くの人々から支援を受けてきた。皆の支援無くして自分は成り立たない。他人からは実現することは無理だと言われることでも、自分を強く信じて頑張っていると、運が強く協力してくれる人々によく巡り会うことができた。支援者からは、自分達への恩返しは不要だから、是非次世代のために頑張って欲しいと励まされている。彼らは自分達がやりたくても現実的な制約で出来なかった理想を、小島が取り組んでくれていることに、自らの理想実現を重ね合わせているようだ。このように信頼される要因としては、「ブレない、信念が強く無理だと言われても諦めない」という性格が起因しているようだ。有機栽培者は少数派であるが、そうでない人達とも互いの価値観を尊重し合い、頼まれれば互いに助け合う関係にある。そうでない人々もいるかも知れないが、自分はつきあわない。
<阻害要因>
農地法の制約があり、農地を手に入れることが非常に難しく話をまともに聞いてくれないことが、最大の阻害要因である。農業体験のための土地を借りることは難しいため、所有者との協同経営の形を取ってコンサルタントの役割を担いながら農業希望者に小分けして貸している。農薬や化学肥料を使う農業者とは反目することなく、お互いの流儀を認め合う同業者、仲間として接している。

1.3自然や芸術への関心について
<あなたは、自然の神秘や芸術の美しさに感動を覚えたり、親しまれたことはありますか>
子供の頃から牛に乗って遊んだりして育ち、自然の神秘に感動し、自然からエネルギーをもらってきた。畑に来ると癒される。
慶応義塾大学環境情報学部の学生の時、エジプトからの留学生がイスラム教と強く結びついていることに感銘を受けた。卒業後、三田の文学部人間科学科の社会心理学に学士編入し、新興宗教とかオカルトが人の心を支配する神秘性について学び、強い興味を覚えた。芸術鑑賞は余りやる方ではないが、子供の頃は竹細工制作にはまったことはある。
<自然や芸術に対する感性は、創造的なことをする動機や感動を高める効果があると思いますか> 
郷里熊本の山都町(やまとちょう)はパワースポットで、そこからは特に強いエネルギーをもらえる。雑念や迷いが削ぎ落とされ、心が研ぎ澄まされて勘が良くなりパッと直感が働いて決断ができるようになる。都会生活を続けていると、だんだん雑念が湧き直感が鈍くなるので、年に4-8回位は山都町(やまとちょう)を訪れてリフレッシュしている。

2.「創造的な経営者」を育成するためには
一般的にどのようなことを、心がけるべきだとお考えですか。
<教え、励ます等の直接的支援>
先ず、本人が理念、理想をがっちり固め、自分は何をしたいかをクリアにすることが先決である。直接教えることは難しいので、理念を共有できそうな人を見つけることが重要で、それから分かりやすく説明する。

<職場環境作り等の間接的支援>
なるべく多くの人を集め、イベントなどを通じて互いのコミュニケーションをよくする。人間は元々創造的な力を持っているので、楽しい気持ちになると、やる気が起きるようにする。

参考:加藤 康祐氏によるインタビューです
http://luvlab.ex-tra.jp/2010/12/post-13.html